「キャビン・フィーバー(2016)」にみるリメイクの難しさ
今回は「キャビン・フィーバー(2016)」を紹介しよう。
イーライ・ロスの奇作「キャビン・フィーバー(2002)」のリメイク作品である。
キャビン・フィーバー リブート
キャビン・フィーバーは、謎の伝染病をテーマにしたホラー映画だ。まずは予告編をみてみよう。非常に強烈な作品である。
Cabin Fever Official Trailer 1 (2016) - Eli Roth, Matthew Daddario Movie HD
2002年のオリジナル版はイーライ・ロスの長編デビュー作。今作は自身が製作総指揮となり、オリジナル版を完全リブートした作品だ。
監督はトラヴィス・ザルーニーだが、全編にイーライ・ロス節が見事に効いた作品になっている。
単作としてはアリだが・・・
さて、この映画、単作としては十分にアリだが、オリジナルを知っている人にとっては残念な作品ではないだろうか。
確かに、オリジナルよりも作りこみが細かくなり、全体のクオリティーは上がっている。
だが、それによって初代が持っていた「うさんくささ」や「意味不明さ」がなくなってしまったように思う。
リメイクの難しさ
どの映画にも言えることだが、リメイクがオリジナルを越えるのはなかなか難しい。その理由は様々だと思うが、キャビン・フィーバーに関しては「作りこみすぎた」ことが原因だろう。
感性でつくられたオリジナルを、理詰めできっちりと料理してしまった。初代で最もおいしかった感性という味を失ってしまったというのが、大きなところだろう。
個人的に残念だったのは、パンケーキ少年のシーン。この迷場面が、リメイクではどうなるのかかなり期待していた。
これだけ見るとさっぱり意味が分からないと思うが、本編をみてもさっぱり意味がわからないという、伝説のシーンである。
結論から言うと、リブートではごく普通のシーンになってしまった。意味不明さが見事に消えてしまったのだ。
「きちんと仕上げる」という意味では正しい作業だと思うが、こうした意味不明さが発するパワーが全編に漂っていたオリジナル版の魅力はすっかり失われてしまった印象だ。
これからみる人にはだんぜんオリジナル版がオススメだ。