不眠症の映画「インソムニア」
今回は「インソムニア(2002)」を紹介しよう。
「インソムニア」は、ダークナイトシリーズやインター・ステラーで有名なクリストファー・ノーラン監督の作品だ。2002年の作品で、時系列的にはメメントの後、バットマンビギンズの前の作品になる。
インソムニア
「インソムニア」は1997年のノルウェー映画「不眠症(Insomnia)」のリメイクだ。白夜のノルウェーで不眠症に苦しむ刑事が主人公だ。全裸で捨てられていた少女の死体、殺人事件をめぐってストーリーが展開していく。
INSOMNIA - Trailer - (2002) HQ
随所にクリストファー・ノーラン監督らしさがよく出ている作品で、非常に興味深く見ることのできる作品だ。全体の演出はやや大人しめで派手さはないものの、映画としてしっかりと作られているので、安心して見ることができる。
オリジナル版
インソムニアのオリジナル版は、日本では「不眠症」というタイトルでリリースされている。上の画像はVHSのもの。トレーラーがYouTubeで見られるが抜群の雰囲気だ。
リメイク版も雰囲気があるが、やはりオリジナルにしか出せない雰囲気がある。古い作品なので探すのに苦労するかもしれないが、見る価値は十分にある作品だ。
リメイク
リメイクはなかなか難しいもので、オリジナル版のファンからしたら「何か違う・・・」と思うものも少なくない。リメイク作品については、ワタクシはその作品を知らない人向け、新しいファン向けのものだと思っている(日本の作品や邦画をのぞく)。
まあ、そんなことを言いながらも、新旧で比較するのも映画のたのしみの1つである。リメイクで難しいと思うのは、ワタクシは空気感だと思う。どれだけ技術が上がっても、オリジナル版にこめられた魂のようなもの、情念のようなものはなかなか出せないような気がする。
たとえば、マーターズだ。
オリジナル版は情念と狂気の塊のような作品だ。序盤から果たしてどういう展開になるのか予測不能なつくりだった。
こちらはリメイク版だ。とんちんかんなコピーは、まったくもって余計なことこの上ないが、ホラーの場合は特にだが、こうしたリメイクはある程度の完成度が保証されるかわりに、映画としてキレイにまとまってしまうことが多い。うまいけれど、面白みがなくなってしまった、ぶっ飛んだところが狙ったぶっ飛び方になったとでも言おうか。
インソムニアの話からマーターズの話になってしまったが、耐性のない人はマーターズのオリジナル版は見ない方がいい。眠れなくなるほどに強烈な作品だ。