talkingdoll

カメラとへんてこなものを愛するフリーランス。カメラ、映画、へんてこなどのネタをつぶやきます。

スターリン体制下のソ連を舞台にしたミステリ「チャイルド44」

トム・ロブ・スミスチャイルド44」を読んだ。

チャイルド44 上巻 (新潮文庫)

スターリン体制下のソ連を舞台にしたミステリ作品である。

チャイルド44

実はこの作品、前々から興味があったのだが、読むのがずいぶんと遅くなってしまった。

というのも、もともとは映画版のほうを先に知り、映画を先に見るか原作を先に読むか迷っていたのである。

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このブログでも何回か書いてきたが、ワタクシは何かの作品に触れるときはできるだけ前情報を入れないようにしている。

作品のレビューも、事前には見ないようにしている。

そんなわけで、映画版と原作がある場合はどちらを選ぶか非常に悩む。

これが邦画であれば、学芸会を見たい気分でない限り、原作を選べば間違いなしだが、洋画の場合は本当に難しい。すさまじい完成度の作品であることも少なくないからだ。

非常に読みやすい作品

あれこれと悩んだ末、原作を読んでみることにした。

チャイルド44 上巻 (新潮文庫)

チャイルド44 上巻 (新潮文庫)

 

海外の小説は翻訳によってずいぶんと読みやすさが変わるが、チャイルド44は非常に読みやすい。

何よりも人物の名前や地名がわかりやすいのもいい。これらは何気に「海外小説を読むときの壁」でもあるので、このあたりがやさしいのは本当にありがたい。

似たような名前とか、頭に入りにくい地名とかを乱発されると、つらいものな。

スターリン体制下のソ連

物語は、スターリン体制下のソ連が舞台に展開されていく。

ミステリではあるが、とにかくこの「スターリン体制化のソ連」の描写がすさまじく、驚愕する。

民衆の生活は「普通」というレベルにも達しておらず、ちょっとしたことでも目をつけられたら終わり。

どんな理不尽な理由でも民間人を逮捕することができ、拷問することができる。いったん疑いをかけられたら、真実がどこにあろうとも関係なし。

誰もが自分を守るために、監視の目を光らせている。いつ密告されるかも分からない。まったくもって恐ろしい時代なのである。

上巻ではそんな世界がこれでもかというぐらいに描かれている。

チャイルド44 下巻 (新潮文庫)

下巻に入ると、物語は派手に動き出す。さながらハードボイルドにギアチェンジしたかのような様相になる。

満足度の高い作品

読み終わってみると、なんと壮大な物語なのだろうと思わされる。これだけの要素を詰め込んで、よくぞここまでまとめられたなあと驚くばかりだ。

ミステリ的な要素はシンプルだが、読み物としては抜群の面白さ。エンタテイメントのありとあらゆる要素が詰め込まれている圧巻の作品だ。

特にスターリン体制下のソ連の描写は一読の価値ありだ。

興味のある方はぜひ読んでほしい。

 

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