久坂部羊「神の手」
ワタクシは久坂部羊先生の作品が好きである。今読んでいる作品はこれだ。
久坂部羊先生の作品
久坂部羊先生の作品は、医療、医学をテーマにしているが、非常に考えさせられるものが多い。
ゴッドハンドな医者も出てこないし、奇跡も起こらない。チームの勝利、医者ってすばらしい!なんてスタイルでもない。
きわめて現実的なスタンスで医学、医療にむきあった作品を書いている。
今読んでいる「神の手」は、安楽死をテーマにした作品だ。
激痛に苦しむ末期がん患者と疲弊していく親族。
もはや打つ手がなくなった医師、がそれぞれを救うため、最後の手段として安楽死を選ぶ。
これは殺人なのか、人を救うことなのか。様々な人間の思惑が交錯していく。
・・・といったふうに物語が展開していく。ページをめくる手がとまらなくなる1冊だ。
悪医
この作品も痛烈だ。再発したがん患者と医師をめぐる物語である。
患者は治る道を探し続ける、医師は現実を見る。
何が正しくて、何をどうしたらいいのか。
よかれと思ったことは、悪医と呼ばれる行為だったのか。
これも非常に考えさせられる作品だ。
何が正しくて何が間違っているのか
久坂部羊先生の作品は、その分野に明るくなくても非常に読みやすい。
ミステリに近い仕立てになっているので、ミステリ好きな人も熱中できるのではないかと思う。
ただ、探すのは犯人ではなく、何が正しいのかという答えである。
第五番もすさまじい作品だ。
どの作品も、医師であり作家でもある久坂部羊先生だからこその作品だと思う。
いずれの作品も重さがあるので、一気に何冊もという読み方にはむいていないかもしれないが、ぜひ一度は読んで欲しい作家である。