「ブラック・ボックス~記憶の罠~」を観た
「ブラック・ボックス~記憶の罠~」を観た。2005年のフランス映画である。
ブラック・ボックス~記憶の罠~
この作品は「失われた記憶を蘇らせる」系の映画だ。
最初に言っておくと、ワタクシはこういった「記憶をどうこう」といった映画はあまり得意ではない。
なんというか、見ているこっちも混乱してくるというか、つらくなってくるのである。あと、「蘇る記憶はすごいものでなくてはならない」的なつくりの縛りを感じてしまうのもある。
どんでん返しで有名になった監督が、もっとすごいどんでん返しを求められていく感じに近いといえばわかるだろうか。「前の作品を観た人をもっと驚かせるためにつくられたどんでん返し」みたいなことを感じてしまうのだ。
小説でいえば、叙述トリック的なイメージもありますな。驚かせないとダメなのぉぉ!みたいな。
それはさておき
この作品は、事故にあい、昏睡状態のアルチュールが口にしたうわごとから物語ははじまる。そのうわごとは、眠っていた記憶を蘇らせる鍵だった―という内容だ。
全体に非常に丁寧につくられており、記憶をよみがえらせる系が苦手なワタクシでも存分にたのしむことができた。
映像の独特のトーンも、記憶があいまいさとクロスしていて素晴らしいし、フランス映画らしい空気感も非常にいい感じだ。
ただ、脚本も含めて小さくまとまりすぎてしまったかな、という印象だ。
記憶モノはやりすぎても理解しがたい内容になるし、まとめようとする小ぢんまりした感じになるし、難しいところですなあ。
観る側はこうして好き勝手いえるが、作る側は本当に大変だと思う。