こう見えても、実は感動モノ「ブラック・スネーク・モーン」
今回は「ブラック・スネーク・モーン」を紹介しよう。
パッケージや宣伝の仕方から誤解されがちな作品だが、この作品は、挫折してしまった人間たちの再生ドラマだ。
前半はえげつない画が続くが・・・
この映画、前半はかなりえげつない。それぞれの人間の挫折を描いているわけだが、これが非常に強烈だ。
特にレイ・ドゥール(クリスティーナ・リッチ)の堕ちっぷりといったら、凄まじいものがある。
上のTrailerでも分かるように、なんともショッキングで扇情的な画がしばらく続く。そのため、開始早々の段階で嫌悪感を持つ人もいるだろうが、ぜひ後半までみてほしい。
そこに光はあるのか
悩みを抱えた主人公たちは、不器用ながらもそれぞれの光に向かってすすんでいく。決してまっすぐではなく、躓きながらの道中ではあるが、後半は感動シーンの連続だ。
これも前半の姿を知っていればこそ、である。随所に挿入されるブルースにも心を揺さぶられる。
インパクトのある面が強調されがちな本作であるが、最後までみれば、素晴らしいヒューマンドラマであることがわかるはずだ。
ラストも非常にうまくまとまっており、ほどよい余韻と余白が味わえる作品だ。
前半はかなりきつい描写なので、乗り越えるまでに忍耐がいるかもしれないが、それを越えれば待っているのは怒涛の感動シーンだ。
興味のある人はぜひみてほしい。
ブラック・スネーク・モーン スペシャル・コレクターズ・エディション [DVD]
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未成年だったら、生徒だったら何をやっても許されるのか「処刑教室(Class of 1984)」
今回は「処刑教室(Class of 1984)」を紹介しよう。
今の日本では許されないだろう映画である。
目には目を、歯には歯を、暴力には暴力を!
「処刑教室」は、荒れた学校に赴任した教師と生徒の闘いを描いた映画だが、とにかく凄まじい内容だ。
Class of 1984 (1982) Official Trailer #1 HD
恐喝、暴力、クスリ、犯罪と、まさに何でもアリの学校である。しかも、これが実話ベースというからおそろしい。
校長どころか警察もアテにならない中、主人公ノリスの奮闘が心に響く。
時代を超えた傑作
処刑教室は、原題は「Class of 1984」となっているが1982年の作品だ。今から30年以上前の作品だが、根本的な部分では今でも共通する部分が多いことに驚く。
「度が過ぎている」面があることから、誰にでも推奨できる作品ではないが、この教師の信念には学ぶところが多いように思う。
未成年だったら、生徒だったら何をやっても許されるのか。教師はどう向き合うべきなのか。今、こんな時代だからこそあえてオススメしたい作品である。
その雪山で何が起こったのか「運命を分けたザイル」
今回は「運命を分けたザイル」を紹介しよう。
実話をもとに描かれたすさまじい作品である。
死のクレバス
「運命を分けたザイル」は、前人未到のシウラ・グランデ峰を制覇後、高度6400mで遭難した登山家を描いた映画である。
Touching the Void Official Trailer #1 - Nicholas Aaron Movie (2003) HD
登山家の名前は、ジョーとサイモン。名前を聞いてピンときた人もいるだろう。
そう、原作は、Jシンプソンの「死のクレバス」である。
Jシンプソン、この映画に出てくる「ジョー」とは彼のことである。
鬼気迫る映像
この映画、とにかく圧巻だ。
本人たちの談話と再現映像で構成されている本作だが、この再現映像がリアルタイムで撮ったんじゃないかというぐらいにすごいのだ。
臨場感がありすぎる映像は、雪山の迫力、怖さを十分すぎるぐらいに体感させてくれる。
生と死の狭間、そして絶望をここまで再現した映画はなかなかないように思う。
山岳モノとしてはもちろんのこと、1つのドキュメンタリー作品としても非常に出来のいい作品だ。興味のある人はぜひ見てほしい作品だ。
いつどこでなぜ感染するのか分からない!謎のウイルスが世界を襲う「コンテイジョン」
今回は、謎のウイルスが世界に拡大していく様を描いた映画「コンテイジョン」を紹介しよう。
感染経路も対処法もみつからない、そんなウイルスが広がっていった時、人間はどんな行動を取るのか。非常に考えさせられる作品だ。
コンテイジョン
この映画に出てくるウイルスは非常に怖い。いつどこでなぜ感染するのか分からないのだ。外出をしない、手洗いをする、人と接触しないぐらいしか対策のしようがないのである。
治療法も見つからず、感染したらおしまい。食料の供給も滞り、社会の機能もストップする。となれば、人はどうする―コンテイジョンはそんな状況を描いた作品だ。
いったいどこから感染したのか
この映画のポイントは、ドキュメンタリー的に仕上げたところだろう。
ウイルスの発生源が「謎の組織が」とか「新兵器の開発で」といったパターンではないのも大きなポイントだ。
被害が広がっていく状況と、感染経路を追っていく状況、ウイルスを分析する状況が並行して展開していく。
そこに描かれているのは、人間たちの生きる姿だ。
数あるパンデミックもののなかでも、少し毛色の違う仕上がりになっている。興味のある人はぜひみてほしい作品だ。
せっかくだから、憑依されるところをライブ配信してみるぜ!「ポゼッション・エクスペリメント」
今日は、最近見た中で残念だった映画を紹介しよう。
ポゼッション・エクスペリメント
「ポゼッション・エクスペリメント」である。
ホラー映画好きな人なら、タイトルをみただけでピンとくるだろう。何かのタイトルに余分な言葉をくっつけたような題名は、ハズレの確率が非常に高いのだ。
この作品でいえば、「ポゼッション」という有名タイトルに、余計な言葉をつけている。こりゃあ、地雷の確率が高いですぞというわけである。
それを承知で踏みにいったら、やっぱり地雷だった・・・そんな作品だ。
憑依されるところをライブ配信するぜ!
エクソシストものだが「悪魔に憑依されるところをライブ配信しよう」というところが新しいところだ。
エクソシストものというと、女性が憑依されるものが多いが、この作品は男性が憑依される。ちょっとめずらしいパターンだ。
だが、この映画をみると、なぜ「女性が憑依されるものが多いのか」がよくわかる。
憑依されてどうなるか
エクソシストものの1つのみどころに、憑依された人間が豹変するというのがある。
本人とは思えない声でしゃべるようになり、表情も尋常でなくなる―もとの姿と違えば違うほど、そのギャップに恐怖を感じる。
だが、この映画ではそれがすべて裏目に出ている。悪魔に憑依されて野太い声になるのだが、この男性によく似合っているのである。
顔も、憑依された後のほうがかっこよくなったという、本末転倒っぷりである。
なよっとした印象だった主人公が、たくましく男らしくなったのである。
こう書くとギャグのようだが、作中では大真面目なので、非常に困った作品である。
ホラーの根本がズレている?
エクソシストものに定番のシーンも出てくるが、そのどれもが上っ面をなぞったような感じで、非常に残念な作品だ。
「こうしておけば、ホラーっぽいんじゃね?」で作られたホラーとでも言おうか。どうにも、ズレを感じる作品である。
「キャビン・フィーバー(2016)」にみるリメイクの難しさ
今回は「キャビン・フィーバー(2016)」を紹介しよう。
イーライ・ロスの奇作「キャビン・フィーバー(2002)」のリメイク作品である。
キャビン・フィーバー リブート
キャビン・フィーバーは、謎の伝染病をテーマにしたホラー映画だ。まずは予告編をみてみよう。非常に強烈な作品である。
Cabin Fever Official Trailer 1 (2016) - Eli Roth, Matthew Daddario Movie HD
2002年のオリジナル版はイーライ・ロスの長編デビュー作。今作は自身が製作総指揮となり、オリジナル版を完全リブートした作品だ。
監督はトラヴィス・ザルーニーだが、全編にイーライ・ロス節が見事に効いた作品になっている。
単作としてはアリだが・・・
さて、この映画、単作としては十分にアリだが、オリジナルを知っている人にとっては残念な作品ではないだろうか。
確かに、オリジナルよりも作りこみが細かくなり、全体のクオリティーは上がっている。
だが、それによって初代が持っていた「うさんくささ」や「意味不明さ」がなくなってしまったように思う。
リメイクの難しさ
どの映画にも言えることだが、リメイクがオリジナルを越えるのはなかなか難しい。その理由は様々だと思うが、キャビン・フィーバーに関しては「作りこみすぎた」ことが原因だろう。
感性でつくられたオリジナルを、理詰めできっちりと料理してしまった。初代で最もおいしかった感性という味を失ってしまったというのが、大きなところだろう。
個人的に残念だったのは、パンケーキ少年のシーン。この迷場面が、リメイクではどうなるのかかなり期待していた。
これだけ見るとさっぱり意味が分からないと思うが、本編をみてもさっぱり意味がわからないという、伝説のシーンである。
結論から言うと、リブートではごく普通のシーンになってしまった。意味不明さが見事に消えてしまったのだ。
「きちんと仕上げる」という意味では正しい作業だと思うが、こうした意味不明さが発するパワーが全編に漂っていたオリジナル版の魅力はすっかり失われてしまった印象だ。
これからみる人にはだんぜんオリジナル版がオススメだ。
家族愛と命をテーマにしたホラー映画「ペット・セメタリー」
今日は「ペット・セメタリー」を紹介しよう。
スティーブン・キング原作のホラー映画である。
ペット・セメタリー
まずは、予告編を紹介しよう。吹替え版と海外版の違いが面白いので両方紹介しよう。
まずは吹替え版だ。
一瞬、不穏な空気になるものの、全体をみれば古きよきホームドラマ的な予告編である。
続いて海外版のトレーラーをみてみよう。
Pet Sematary (1989) Movie Trailer
こちらは吹替え版とは一転、まさにホラーといった体である。
さて、どっちが「この映画らしい」かといえば、実はどちらも「この映画らしい」のが、本作の面白いところだ。
ペット・セメタリーはただのホラーではなく、家族愛と命をテーマにしたホラー映画なのである。
非常に面白い作品
「Oricon」データベースから本作の紹介をピックアップしてみよう
アメリカ・メイン州を舞台に、死者を蘇らせるといわれる墓場“ペット・セメタリー”で起こる惨劇を描く、スティーヴン・キング原作のホラー小説を映画化!小さな街ルドローに引っ越してきたルイス一家。数日後、ペットの猫が轢死。近くにあるペット・セメタリーに埋めると、翌日猫は生き返った。日を置かずして息子ゲイジがトラックにはねられ死亡する。こっそり遺体を例の場所に埋葬するが…。
原作は、スティーブン・キングの「ペット・セマタリー」である。
スティーブン・キングの小説は、現実と非現実の世界がシームレスにつながっていく場面が多くある。これが「キングの作品は映像化が難しい」と言われる点でもある。
だが、この映画「ペット・セメタリー」は、そのシームレスな世界を見事に再現したといえるだろう。
キングの描く「現実」と「少し不思議な世界」が実に自然な流れで―まさにシームレスにつながっている。
演技はややベタ、映像に古さを感じる部分も多々あるが、それを差し引いても、良作といっていいだろう。
ただのホラーに終わらず、命について、家族について考えさせられる作品だ。
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