わかりやすい本だけでいいのだろうか
先日読んだ「白衣の女」が大変に面白く、数日たっても、まだ興奮しっぱなしだ。
途中からページをめくる手が止まらなるぐらいに面白かったが、最初から最後まですらすら読めたかというと、実はそうではない。
最初のほうで、つまずきそうになったのである。
原因
というのも、「白衣の女」を読む前に、いくつかの日本の小説を読んでいたからである。
今の日本の小説は、一文が短く、コンスタントに段落を変えるものが多い。そのため、非常に見やすいし、読みやすい。ほどよい余白がいい感じのリズムを運んでくれる。
だが、そうしたスタイルになれてしまうと、1ページに字がぎちぎちに詰まったようなものが、やたらと重苦しく感じてしまうのだ。
また、昨今は、行間を読ませるといったことや、1文に含みをもたせるといったつくりよりも、「わかりやすさ」を優先させるようになっているように思う。
東野圭吾氏の本は、今も昔も変わらずに非常に読みやすい。だが、読み終わった後に残るものが少ないという声もある。
本に何を求めるかは人それぞれなので、このあたりのさじ加減は難しいところだろうが、娯楽小説としては正しい方向のように思う。
今野敏氏の本も分かりやすいが、いくつか読んでみると、パターンにはめて書いている感が露骨にみえてきてしまうのが残念なところだ(東野圭吾氏もその傾向があるといわれるが、そこまで露骨ではないように思う)
それは隠蔽捜査シリーズを一気に読んでみると、すごくわかる。骨組みは一緒で、外観だけを変えているようなつくりだ。
おっと、話が少しそれてしまったようだ。次回につづく。
MotoGP ロッシの栄光と苦悩を描いたドキュメンタリー映画「FASTEST」
FASTESTをみた。こりゃあ、傑作ですなあ!素晴らしい!
FASTEST
FASTESTは、モーターレースの最高峰の1つであるMotoGPを舞台にしたドキュメンタリー映画だ。生きる伝説、バレンティーノ・ロッシを軸に展開される。
バイクレースというと、その方面に明るくない人にとっては敷居が高いイメージがあるが、この作品は非常にわかりやすく作られている。
このトレーラーは海外版だが、これだけでも十分に魅力が伝わるだろう。マジですよ、マジ!レースシーンはすべて実際のものだ。
テレビカメラ的なアングルもあれば、ヘルメットにつけられたカメラからの映像など、ド迫力ですよ。
ふだん、こうしたものを見慣れていないワタクシは、度肝を抜かれてしまった。コーナーでのハングオン、凄すぎ!あんな地面スレスレまで体を傾けるものなのだなあ、怖い。
ロッシの苦悩
映画は、MotoGPのスーパースター、ロッシを中心に展開されていく。まさに最速、まさに天才としか言いようのない走りを見せるが、彼の前に大きな壁が立ちはだかる。
怪我に加え、台頭してきた新しい才能が、無敵と思われたロッシをじりじりと追い詰めていく。
ロッシといえば、46が代名詞。このジャンルに詳しくなくても、FASTESTをみた後は、46が大好きな数字になっていること受け合いだ。
ロッシのゲームも出ている。
FASTESTの作品内では「ロッシは、最初から最後までどの周も同じタイム(配分)で走ることができる」とデータを出すのだが、これが本当にぴったりで驚いた。1週のペース配分がグラフになっているのだが、重ねると見事に一致していた。すげえ!
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まとめ
バイクレースには全く知識のないワタクシだったが、一気に見てしまった。ロッシをはじめとしたライダーたちの生き様は心揺さぶられるものがある。
非常に面白い作品なので、興味のある人はぜひ見てほしい。
ちなみに、前作のFASTERも非常に出来のいい作品だ。
基礎をある程度知ったら、自分の形を作るほうが早い
昨年末に、部屋を片づけて以来、きれいな状態をキープしている。
実際に片づけてみて思ったが、片づけの基礎(?)みたいなものをある程度知ったら、あとは自分の形を作るほうが早いように思う。
何が大切なのか
たとえば自己啓発書のレビューなんかを見ると、たまに「新しいことが載っていないのでクソです!」といった大変愉快なものがある。
ほかでも言われていることばかり・・・というわけだが、こういうレビューを見るたびに「そのぐらい大切なことだから、みんなそれを言うんだろう」と思ってしまう。
それがわかってないから何十冊とか何百冊とか読むハメになるんだろ・・・とワタクシは思うのだが、自己啓発に限らず、こういったケースは多いように思う。
つまり、答えはそこにはないか、すでに道筋が提示されているのではないかと思うのである。解くのは自分、完成させるのは自分だと思うのだ。
(自己啓発の本でいえば、ある程度読んだ時点で気づけよ・・・と思うが)
答えはどこにある
片づけは自分にとって未知のジャンルだったが、実際に自分で片づけを始めてみると、最初に書いたようなことを思った。
基礎のようなものをある程度知ったら、あとは自分の形を作るほうが早いんじゃないかと。片づけに限らず、こういうものって多いよね。
基礎を知るために読む本はたぶん数冊でいいように思う。新しいことを探すのではなく、重複している部分を探す。おそらくそれがゴールへのヒントだ。それをどう解くかは自分だ。
ワタクシはそう思うな。
『ユニクロ帝国の光と影』著者の渾身レポート ユニクロ潜入一年 を読んだ。
『ユニクロ帝国の光と影』著者の渾身レポート ユニクロ潜入一年 を読んだ。
『ユニクロ帝国の光と影』著者の渾身レポート ユニクロ潜入一年
先に言っておくと、この本は電子書籍である。「文春e-Books」として出ているので紙の本ではない。
週刊文春に連載された記事(第1回と第2回)の再構成版で、30ページにも満たないページ数なので、さらっと読める1冊だ。
こうしたフットワークの軽い形で本にできるのも、電子書籍ならではだろう。
非常に興味深い内容なので、興味のある人はぜひ読んでほしい。
『ユニクロ帝国の光と影』著者の渾身レポート ユニクロ潜入一年【文春e-Books】
- 作者: 横田増生
- 出版社/メーカー: 文藝春秋
- 発売日: 2017/01/27
- メディア: Kindle版
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渾身の潜入取材
ユニクロが損害賠償を求めて裁判を起こしたことでも話題になった本だ。
今回紹介した『ユニクロ帝国の光と影』著者の渾身レポート ユニクロ潜入一年 は、横田増生氏が実際にユニクロにアルバイトとして入ってのレポートだ。
本書は連載の2回目までということで、まださわりという感じだが、お客の立場からではみられない部分が書かれている。
横田増生氏の潜入ルポには、アマゾンもある。
興味深い1冊
こうした本を読む場合は、様々な立場から書かれた本を読むとより多くの発見があるように思う。
現場レポートを読んだら、経営者側が書いた本を読む、そして外部から書かれた本を読むといった具合に読むと面白いように思う。
しかし、昨今のあれこれを見るに、ユニクロに限らず、いろいろとムリをしてきた部分にヒビが入ってきているのかもしれないなあ。
『ユニクロ帝国の光と影』著者の渾身レポート ユニクロ潜入一年【文春e-Books】
- 作者: 横田増生
- 出版社/メーカー: 文藝春秋
- 発売日: 2017/01/27
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面白すぎて一気読み!ウィルキー・コリンズ「白衣の女」
先日、このブログで紹介した「白衣の女」を読了した。ゆっくり読もうと思っていたのだが、あまりの面白さに一気読みしてしまった。
白衣の女
白衣の女(びゃくえのおんな)は、ウィルキー・コリンズによって書かれたミステリ小説である。
1859年に雑誌で連載されて、1860年に発売。そう、150年以上前の作品なのである。
なのに、今読んでも古さを感じさせないどころか、この完成度は驚愕ものだ。おまけに抜群に面白い。これは必読モノですよ!本当にすさまじい1冊だ。
現在入手可能なのは、最初に紹介した画像のもの(岩波文庫版)だろう。ワタクシが読んだのは国書刊行会版だ。表紙も挿絵も大変に雰囲気があっていい。
物語はそれぞれの手記によって紡がれていく
白衣の女は、登場人物の手記を連ねる形で書かれているのだが、これがまたいい。同じ出来事をそれぞれの視点から語るというよりも、視点が変わりながら話がすすんでいくといったスタイルだ。
視点(手記)が変わるときの「物語はウォルター・ハートライトによって続けられる」といった書き方がなんとも素敵で、ワタクシは思いっきりしびれてしまった。
翻訳のうまさもあると思うが、この作品にはシンプルながらもグッと心をつかむフレーズが多い。
まとめ
白衣の女には様々な要素が含まれている。描写も丁寧かつ深いので、ミステリとしてではなく、1つの文学作品としてもたのしめるように思う。
ワタクシは読み終わって壮大な人生の物語だなあと思った。
興味のある人はぜひとも読んで欲しい作品だ。
「1984年のUWF」と前田日明氏について
前回の続きである。「1984年のUWF」を読んだという話&前田日明氏について話だ。
フィルターがかからなくなった
これはプロレスに限らないが、ワタクシは寡黙なイメージのほうが幻想を保てるように思う。
ファンとは勝手なもので、勝手に想像を膨らませて、違う面がみえると「え、こんな人だったの?」と勝手に幻滅する。まったくやっかいな生き物である。
前田日明氏については、リングスの立ち上げごろまでは、今ほどはイメージが悪くなかったように思う。
ワタクシ的には、紙のプロレスあたりでやたらと持ち上げられてから、おかしくなってしまったように思う。
ほぼノーフィルターに見えるインタビューは確かに面白かったが、イメージもずいぶんと変わってしまった。
格闘家ではなくプロレスラーでよかったのは
ワタクシはあらためて思うが、前田日明氏は「プロレスの中でプロレスを改革しようとしたプロレスラー」でよかったのではないだろうか。
それで総合格闘技にも詳しい・・・だったら話は違っていたように思う。やっていたのはプロレスなんだものな。
実態は泥沼だったのかもしれない
ワタクシは幻想があるほうが素敵だと思うタチだが、UWFについては、幻想は幻想であって欲しかったという気持ちはあまりないなあ。
賛否はあれど、時代の空気とマスコミが作り上げたものなのかもしれない。Uの幻想とか、Uは一枚岩とか、そういう言葉が引っぱっていたんだろうなあと思う。
先日のニコ生では、前田日明氏がこの本について触れたり、UWFのことを語ったそうだが、内容を聞くと、現実と妄想がごっちゃになってきている感じだなあ。
1984年のUWFを読んでいないということだが、ワタクシは読んでいるように思った。
「1984年のUWF」を読んだ
これは強烈な1冊だなあ。
前田目線からではないUWF
これまでUWFは、前田日明氏の発言をもとに語られることが多かったが、この本は強烈だ。
前田目線ではないUWFは、実はこんなふうだった―と、様々な検証がされているのだ。これはねえ、前田日明ファンの人は読まないほうがいいかもしれない。
今まで「拠り所」とされていたところまで、粉々に打ち砕かれるぞ。
Uの幻想
ファンにとってはかなりきつい内容なので、当然、批判もある1冊だ。
中には、表記の誤りを指摘して「こんなミスをしている!まったく信用できない本だ!」という声もある。
たとえば、「キャメルクラッチをキャラメルクラッチと書いている!この本はまったく信用できない!」というような声だ。
この本に興味を持って熱くなるような人は、たぶん、リアルタイムにその時代を経験した人たちだろう。
つまり、それなりに年を重ねているわけで、なのになんだ、この小学生みたいな批判の仕方は。ワタクシもUには夢を見たぜ、それでも「プー、クスクスクスwww」と思ってしまった。
フィルターあってこそだったのか?
UWFも前田日明氏も、マスコミというフィルターが大きかったのかもしれない。
ある時期までの前田日明氏の発言は、それはもうかっこいいものだった。
だが、それはプロレス雑誌やメディアが言葉を選別していたのも大きかったのではと思うようになった。
有名な「誰が一番強いか決めたらええんや!」も文字でしか知らない時はしびれたけれど、実際の映像を見るともっとグダグダで、そんなにかっこよくないもんな。
次回につづく。