アガサ・クリスティー「メソポタミヤの殺人」
アガサ・クリスティーの「メソポタミヤの殺人」を読んだ。
ポアロものである。やや狙いすぎてしまった感はあるが、実に面白い作品だった。
メソポタミヤの殺人
メソポタミヤの殺人は1936年の作品で、遺跡の発掘現場を舞台にした作品である。「BOOK」データベースより紹介文を引用してみよう。
考古学者と再婚したルイーズの元に、死んだはずの先夫から脅迫状が舞いこんだ。さらにルイーズは寝室で奇怪な人物を目撃したと証言する。が、それらは不可思議な殺人事件への序曲にすぎなかった…。過去から襲いくる悪夢の正体をポアロは暴くことができるのか?中近東を舞台にしたクリスティー作品の最高傑作。
物語は、看護士のレザランの「手記」によって展開されていく。ポアロものであるが、中盤までポアロが出てこないのもユニークなところだ。
ちなみにこの作品、「作品は癖になる」という邦題でも出版されている。
原題が「Murder in Mesopotamia」なのに、「殺人は癖になる」というタイトルはどうなんだ?という気にもなるが、作品を読んでみると「なるほど」と思わされるタイトルだ。
・・・が、ワタクシ的には全くいただけない邦題である。「そのキーワードをタイトルで出すか、ふつう」と思ってしまう。
いろいろな表紙
「メソポタミヤの殺人」も表紙にいろいろなバージョンがある。
時代を感じさせるものなど様々だが、実はこの作品、「メソポタミヤ」というのはさして重要ではない。
先日紹介した「ゴルフ場の殺人」と同じで、人間ドラマがメインの作品であって、「場所」はたいして関係がない。
なので、「メソポタミヤ」や「遺跡の発掘現場」というフレーズに興味を持った人には、やや肩透かしの感があるかもしれない。
全体としては「ひねりすぎている」と感じさせる部分はあるが、読みごたえのある作品だ。
ちなみにこの作品のトリックは、ワタクシのツボにかなりはまった。「推理クイズ」の本を読んでいるかのような「面白みのあるトリック」だった。すばらしい!
- 作者: アガサクリスティー,Agatha Christie,石田善彦
- 出版社/メーカー: 早川書房
- 発売日: 2003/12/01
- メディア: 文庫
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