アガサ・クリスティ「オリエント急行殺人事件」
アガサ・クリスティ「オリエント急行殺人事件」を読んだ。
「オリエント急行殺人事件」は、言わずと知れたアガサ・クリスティの代表作の1つで、日本では「オリエント急行の殺人」というタイトルでも知られている。
原題は「Murder on the Orient Express」なので、どう訳すかといったところだろう。今回はワタクシが読んだタイトルのほう、「オリエント急行殺人事件」で話をすすめていこう。
オリエント急行殺人事件
「オリエント急行殺人事件」は1934年の作品で、日本でもこれまでに様々な出版社から発売されている。今回ワタクシが読んだのは1960年発売の蕗沢忠枝訳のものである。
大正生まれの翻訳家ということもあり、今読むと、言い回しに時代を感じさせる部分があるが、かえってそれが物語の雰囲気を高めているのが面白いところだ。
読みやすさでいえば新訳版かもしれないが、昔の作品にはやはり古めかしさが必要だ。
ただ、蕗沢忠枝版は絶版になっているので、入手しやすいのは新訳版だろう。
翻訳者や出版社、あるいは時代によって、表記が少しずつ違うところも面白い。
山本版では「ポアロ」になっているが蕗沢版では「ポワロ」、「クリスティ」と「クリスティー」など、表記の違いによってずいぶんと印象が変わってくる。
凄みと色気のある作品
オリエント急行殺人事件の内容については、「BOOK」データベースより紹介文を引用してみよう。
数日がかりでヨーロッパを走り抜ける豪華寝台列車、オリエント急行。さまざまな国の客が乗り合わせたその日の列車は、雪の中で立ち往生してしまう。しかも車内で殺人事件まで起こった。殺されたのは、金持ちのアメリカ人男性。たまたまこの列車に乗っていた名探偵エルキュール・ポアロは、事件を調査することになる。
犯人は乗客の誰かにまちがいない。ところが全員にアリバイがあるのだ。はたして、ポアロの推理は…。
名作として語り継がれてきた作品には、やはり独特の凄みと色気がある―読み終わった時、そう思った。
「そして誰もいなくなった」でも思ったが、純粋に「人間」を描いた作品としても本当に面白い。文章自体はシンプルだが、その裏に流れるものは非常に深い。
そして、さらに嬉しいのは、まさに「推理」小説であるということ。すばらしい!
- 作者: アガサクリスティー,Agatha Christie,山本やよい
- 出版社/メーカー: 早川書房
- 発売日: 2011/04/05
- メディア: 文庫
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