何これ、外道すぎて面白い!逢坂剛「兇弾」
逢坂剛「兇弾」を読んだ。
兇弾
兇弾は、目的のためなら手段を選ばない外道警察官・禿鷹(ハゲタカ)シリーズの第5弾である。
警察モノの小説は、警察の闇を書いたものが多いが、これはかなり強烈だ。幹部も腐っているが、ほかの警察官も見事に腐っている(腐女子的な意味ではない)。
当然、主人公も汚れているのである。
ある場面で、相手をしょっ引くためにあるテクニックをみせるのだが、ワタクシはこれを読んで、まさに外道だと思った。怖ぇよ。
だが、めちゃくちゃに面白い
この作品、めちゃくちゃに面白い。なにせ登場人物の誰もが、まっすぐではないのである。
おまけに主人公が組むパートナーも疑わしいのである。
また、警察内部の外道っぷりもすさまじく、どこぞのマフィアみたいなのもいる。
そんなわけで、話がどう転がっていくのかが全く読めないのだ。面白いぞ、これは。
はみ出し方のケタが違う
警察モノ・刑事モノの作品には、よく「はみ出し者」のキャラクターがいる。主人公の場合も多い。
そうしたキャラクターは、あくまで捜査手段が独特だったり、他とつるまないことがポリシーだったりすることがほとんどのように思う。
大沢在昌先生の「新宿鮫」もそうですな。無間人形(新宿鮫4)あたりで完結していればなあと思うことがある。
禿鷹シリーズに出てくる警察官は、はみ出し方のケタが違う。
犯罪スレスレとかそういうレベルじゃなくて、もろ犯罪じゃねえか!ということがいっぱい出てくる。
ネタバレになる部分が出てくるので、詳しくは触れないが、この外道っぷりは面白いですぞ。
これまでの経緯も書かれているので、シリーズを読んでいなくても大丈夫だ。興味のある人はぜひ読んでほしい。