「響け!ユーフォニアム」に思うこと
前回に引き続き「響け!ユーフォニアム」の話である。4~7巻をみた感想だが、ファンの人には申し訳ない話になっていると思うので、先に言っておこう。
演出の限界
これは1~7巻を見て感じたことだが、ファンの人には申し訳ないが、演出の限界を感じてしまった。いろいろな試みをしているように思うが、演出のバリエーションとしては目先を変えているだけで、さほど多くないように感じた。
中でも気になったのが目の演技で、見開く・まぶたを少し上げる(なんだか気づいたような顔をする)・伏せるぐらいで、みんながみんな同じような仕草をする。
これは、「中二病でも恋がしたい!」でもそうだったので、「こういう場面ではこういう表情をする」というセオリーのようなものがあるのかもしれないが、登場人物の数が多いこともあり、かなり気になった点だ。
また、こういうことを言うのは野暮かもしれないが、時に絵が「キレイにこだわりすぎ」なのではないかと感じることがある。
どんな表情でもどんな場面でも「キレイさを失いたくない」という感じがあって、感情を出す場面でも、上辺をなぞるというか一歩踏み込んでいないような印象を受ける。
その涙は何の涙なのか
前回の記事でも書いたが、この作品は「見せたいシーンのためにキャラクターを動かしている」観がある。
作中に涙を流すシーンがある。そのシーンだけをみれば、力を入れて作られているのはわかる。だが、あまりに唐突なのだ。ストーリーの中で、その感情に至るまでの過程が描かれていないので、その話の中で突然、悔しがるような感じになってしまっている。
おそらく大きな見せ場であり、伏線を回収する意味での重要なシーンであるとは思うのだが、そもそも麗奈の悔しさと久美子の悔しさは種類が違うのではないだろうか・・・。
いろいろともったいない作品
前々から興味が合った作品だったこともあり、かなり期待もしていたのだが、いろいろと残念な作品だったように思う。滑り出しはよかったが、もっとストレートでよかったのではないかと思う。
元も子もないことをいえば、この内容であれば、部内の人間模様を描く作品に徹したほうがよかったのではないだろうか。「全国大会出場」を掲げてしまったことで、中途半端になってしまった部分や制限されてしまったことのほうが多いように思う。
力を入れて作っているのはわかるのだが、つくづくもったいない作品に思えてならない。次回に続く。