エミリー・ブロンテ「嵐が丘」
今回は、ワタクシが好きな作品「嵐が丘」を紹介しよう。
「嵐が丘」は、エミリー・ブロンテによる長編小説だ。2つの家で三代に渡って繰り広げられる壮大な物語で、「世界の三大悲劇」「世界の十大小説のひとつ」とも言われる世界的名作だ。
「嵐が丘」様々な翻訳
これは翻訳ものの宿命でもあるが、海外作品は、翻訳者によってずいぶんと印象が変わってくる。嵐が丘はいろいろな出版社から出ているが、現在、最も手に入りやすいであろう新潮文庫の「鴻巣 友季子(訳)」のものはやめたほうがいい。
この「鴻巣 友季子(訳)」版は翻訳がよろしくないだけでなく、日本語もおかしな部分が多い。人物描写も首を傾げてしまうようなところもあり、まったく持ってオススメできない翻訳だ。
文学作品の翻訳は、ただ文の意味を訳すのではなく、原文が持つ小説としての形を可能な限り再現するという大変難しい作業であると思うが、それをおいても、この翻訳はかなり厳しいと言わざるを得ない。
ワタクシは最初に新潮文庫の旧訳、「田中 西二郎」版を読んだが、読み比べるのが失礼に感じるほど圧倒的な差がある。新潮文庫は、上で書いた巣鴨版に変わってしまっているので、こちらは図書館や古本で探すことになると思うが、探す手間をはるかに超える価値があると思う。ブックオフなら108円で買えることもあるぞ。
今、手に入るものであれば、こちらもよいと思う。忠実で大変に読みやすい訳になっている。
翻訳がいくつもされているような作品は、余裕があれば読み比べをしてみると面白い。そうして好きな訳、自分が読みやすいものが見つかれば、その翻訳者の作品をたどってみるのもいいと思う。
嵐が丘の謎
嵐が丘には謎も多い。古くから様々な検証がされているが、こうした謎についてあれこれ考えてみるのも面白いところだ。日本でも、嵐が丘の謎を考える本が出ている。
こうした本を読んでみると「嵐が丘」という作品がより興味深くなってくること間違いなしだ。ただ、上に挙げた嵐が丘を検証している本は、マンガやアニメ系の「~の謎」的な本のノリとはまったく違い、ガチンコな内容なので注意が必要だ。