バットマン vs スーパーマン/ジャスティスの誕生
「バットマン vs スーパーマン/ジャスティスの誕生」を見た。
ザック・スナイダー監督による作品である。「マン・オブ・スティール」がワタクシ的には散々な出来だったので、イヤな予感はしていたが、どうやらその予感は正しかったようだ。好きな人は好きだと思うが、ワタクシには厳しい出来だった。いろいろとポイントを挙げていこう。
一番見せたいところが際立たない
ザック・スナイダー監督の作品はCGが凄い。それはいいのだが、とにかく何から何まで「見せつけようとする」のが大変に厳しい。
物語上、まったく重要じゃないシーンでも、いちいちスローを効かせたり意味ありげなアングルにしたりと見せつける。たいして重要でない人物をやたらと意味ありげに撮ったりする。
そんな調子なので、話の中で重要な部分や一番見せたいところがちっとも際立たないのだ。だから話が見えてこないし、全体にしまりがなく、とっちらかってみえてしまう。
Batman v Superman: Dawn of Justice - Comic-Con Trailer [HD]
見せ場を集めたかのような予告編だが、本編では「たいして重要でもないシーン」でもこのような演出だ。
感情表現を「顔だけ」でする
これは非常に大きなデメリットだと思うが、悲しい、泣くなどの感情表現を顔だけで表現しようとしている。しかも同じアングルで、バストショットまたはアップショットばかりだ。まさに「邦画かよ!」である。それもムダに長く撮っているので、間が持っていない。「顔を全部映さなきゃ気がすまない病」のとにかく邦画のような演出だ。
顔ばかり映している割に、ほとんどの人物が何を考えているか分からないので、感情移入しながら見たい人には厳しいかもしれない。
「効いているように見えない」戦闘
戦闘も同じだ。派手で、技術的には凄いことをやっているのだろうが「伝わらない」のだ。
CGを多用しているのもあると思うが、ワタクシは原因はもっと根本的なところにあると思う。とにかく「効いているようにみえない」ので、結局、派手にしたり建物を破壊したり、爆発の範囲を大きくするしか方法がないのではないように感じた。
「痛みという感情」の表現が出来ていないのだろう。バットマンの立ち回りにまったく迫力がないのもそこに原因があるのではないだろうか。
ちなみに、ベン・アフレックのバットマンはワタクシ的にはアリだと思った。
Batman v Superman: Dawn of Justice
この作品は「ジャスティス・リーグ」がベースだと思ってみれば、まだ納得できる部分もあると思うが、純粋に「バットマンVSスーパーマン」だとか「バットマンとスーパーマンが主役」だと思ってみると、肩透かしを食らったような気持ちになるかもしれない。
詳しくは作品を見ていただければと思うが、ワタクシ的には「バットマンとスーパーマンはかませ犬」のように見えてしまった。
原題も「Batman v Superman: Dawn of Justice」なのだが、ここはMARVELの「アベンジャーズ」のようなタイトルにした方がよかったのではないかと思う。
まあ、仮にそういうタイトルだったとしても、邦題が「バットマンVSスーパーマン」になったりしてな。
映画のイメージとしてはこのパッケージが正しい感じだ。
「真ん中の人、誰?」と思う人は、DCコミックやジャスティス・リーグについて少し調べておくとたのしめるかもしれない。
「バットマン vs スーパーマン/ジャスティスの誕生」は、「マン・オブ・スティール」同様、長いので、少しでも出来に不安を感じる人は見ない方がいいかもしれない。あと、これは1本で完結するのではなく、シリーズということを理解してみるといいと思う。