伝説のタスマニアタイガーを追え!ウィレム・デフォーの「ハンター」
ハンター(2011)を見た。1936年に絶滅したとされるタスマニアタイガーを追うハンターの物語だ。UMA(未確認生物)や絶滅動物好きにはたまらない設定だ。
タスマニアの大自然の中、伝説を追うのが軸になるのだが、こうしたUMAや絶滅動物モノの場合、伝説へのリスペクトがあるかどうかでずいぶんと仕上がりが変わってくる。その点、この「ハンター」は抜群の出来だったと思う。
タスマニアタイガーとは
さて、何はさておき、タスマニアタイガーだ。「タスマニアデビル」とも呼ばれ、なにやら怖いイメージがあるがこの動画をみてほしい。生きたタスマニアタイガーをとらえた貴重な映像だ。
そう、何、このかわいい生き物である。時々犬っぽくみえたり、ねこっぽくみえたりしてなんとも愛嬌がある。
タスマニアタイガーは、背中にトラのような縞模様があることからついた名前だが、タスマニアオオカミとも呼ばれる。だが、基本的にはコアラやカンガルーなどと同じ有袋類である。
これだけ聞けば、まさにUMA(未確認動物)そのものであり、伝説である。これが実在していたというのだから本当に驚きだ。
伝説へのリスペクト
「ハンター」はワタクシにとって心に残る映画となった。タスマニアタイガーに対する人それぞれの感情、考え方が非常に自然な形で作品に入っていたと思う。何よりも伝説へのリスペクトがつらぬかれていたのは大きいと思う。
ワタクシはUMAファンで絶滅動物にも大変興味があるので、タイガーのことばかり書いてしまったが、「ハンター」は映画としても大変にいい出来なので安心してほしい。ウィレム・デフォーは圧巻の一言だし、それをとりまく人々、そして映像が本当にすばらしい。ぜひ多くの人に見てほしい作品だ。
幻想として守っておいてほしいところ
UMAへのリスペクトというと、がっかりした作品がある。角幡唯介氏の「雪男は向こうからやって来た」である。
書籍である。読み物としては面白いし、冒険家ならではの視点も大変に楽しめる作品だ。だが、この作者は他の著作でもそうだが、斜に構える感があり、時にそれが「?」と思わせる部分がある。
この作品に関しては、「幻想」として守っておいてほしいところまで踏みにじってしまったという感想につきる。読み物としてうまく仕上げられていると思うが、本全体を振り返ると言葉は悪いが、暴露本に近い印象だ。
暴露トークでウケを狙うのは、そういう番組だけにしてくれという気持ちである。ウケねらいで「幻想を食い物にするな」と心から思う。