「ナニワ金融道」全19巻を読んで
電子書籍で読み始めた「ナニワ金融道」だが、全19巻をついに読み終わった。
やはり面白い。まさに名作だ。
だが、全巻を通して読んでみると、気になる部分もいくつかあった。
後半の失速感
それまでが凄すぎたということもあるが、15巻以降はかなり失速している感がある。
前半は金融の世界だけでなく、人間のおろかさ―まさに踏み越えてしまった人々が描かれていたが、後半にいくにつれて「手口」ばかりにスポットが当たるようになってしまった印象だ。
某「トイチでっせえええ」漫画のオマージュキャラといわれる「銭田掏二朗」。皮肉ととらえるか、痛快ととらえるかは人それぞれだろう。
通して読んでみると「ここは連載中にテコ入れが入ったんだろうか」と感じさせる部分もある。ワタクシ的には、どうもこの「都沢(右側)」は青木雄二先生らしからぬキャラのような気がしてならない。
連載の後半はかなり苦しんだという話を聞いたことがあるが、17~19巻は物語自体も行き当たりばったりな部分もあったりと、どうもチグハグな印象だ。
読み手とは勝手なもの
こんなことを書いておいていうのもなんだが、読者というのは実にわがままなものだ。
ナニワ金融道のあとがきでも、青木雄二先生の著書でも書かれているように「限界まで描き切った」作品であることは間違いない。
いい作品であればあるほど、読者が求めるハードルはあがっていく。難しいものである。