アガサ・クリスティー「そして誰もいなくなった」
アガサ・クリスティー「そして誰もいなくなった」を読んだ。
ずいぶん前に読んだ記憶があるが、あらためて読んでみた。いやぁ、震えがくるぐらいにすごい作品だ。
そして誰もいなくなった
「そして誰もいなくなった」は今から80年近く前、1939年に刊行された作品だ。
原題は「And Then There Were None」(発表当時は違ったタイトルだったが、改題された)。
現在は、新訳版(青木久恵訳)が出ているが、言い回し等、様々な部分で違いがある。最も大きな違いは「童謡」と「島の名前」だろう。
旧版(清水俊治訳)で使われていたものは差別用語にあたるとして、名称が変わっている。そのため、旧版と新訳版では、物語の雰囲気が違ってみえる部分がある。
まさに名作ミステリ
それにしても、すさまじい完成度の作品だ。
特に、シンプルでありながら、全く不足のない描写には驚かされる。「行間を読ませる」とはこのことだろう。全部を書いていなくても、あれこれと想像させられる。
構成も抜群で、小説としての完成度も非常に高い―読んでいてそう思うことしきりだった。
純粋に「読んでいて面白い」―これぞ娯楽!すばらしい作品だ。
- 作者: アガサクリスティー,Agatha Christie,清水俊二
- 出版社/メーカー: 早川書房
- 発売日: 2003/10
- メディア: 文庫
- 購入: 30人 クリック: 559回
- この商品を含むブログ (183件) を見る