talkingdoll

カメラとへんてこなものを愛するフリーランス。カメラ、映画、へんてこなどのネタをつぶやきます。

小説の水増し・引っ張りについて

小説において「連載→単行本」は定番だが、一気に読むと水増し・引っ張りが目立つものがある。

今回はそんなお話を。

落英

ここ最近、黒川博行氏の小説にハマっている。どれも大変に面白く、ハズレが少ない作家の1人だろう。

ただ、先日読んだ「落英」はどうなのだろうと思った。いや、面白いのは面白いのだ。だが、1冊の本としてみると非常にバランスが悪いように感じた。

落英

落英

 

連載の弊害

この小説はもともと日刊ゲンダイに連載されたものである。連載時にリアルタイムで読んでいれば気にならないだろうが、一気に読むと部分部分でものすごくバラつきがある。

面白い部分もあるが、水増しや引っ張りに感じられる部分も多い。

黒川博行氏の小説といえば会話の妙があるが、この作品に関してはキレがないどころか、ページ稼ぎのように感じられる部分も少なくない。

頻繁な場面転換

ワタクシが最も気になったのは、場面転換の多さだ。タイプは違うが、薬丸岳という小説家がいる。

友罪 (集英社文庫)

薬丸岳氏の小説には一時期、かなりハマっていたのだが、途中であることに気づいた。やたらと場面が切り替わるのである。

最初はそれほど気にならなかったのだが、発刊ペースがあがるにつれて、この点がやたらと気になるようになってきた。

おそらくは。

何らかのモノづくりをしたことがある人なら、経験したことがあるだろう。ごたごたと飾り立てるとごまかしが効くんだ。芯が甘くても、要素を増やすとそれっぽく見えるようになる。

頻繁な場面転換は、これに近いんじゃないかと―。ワタクシはそんな気がする。

 

友罪 (集英社文庫)

友罪 (集英社文庫)

 
虚夢 (講談社文庫)

虚夢 (講談社文庫)

 

 

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