塩田武士「罪の声」を読んだ
塩田武士「罪の声」を読んだ。
先に言っておこう。この本は、大変にプッシュされている1冊だ。だが、ワタクシ的にはどうにもいただけない1冊だった。
力の入れどころがズレた作品
ワタクシが読み始めて感じたのは「何だ、この読みづらい文章は・・・」ということだった。
しばらく読んでいくと、その原因がなんとなく分かってきた。この作家、力の入れどころがとにかくまずいのだ。
どうでもいい部分をやたらと書く割に、肝心の部分(その項目で伝えたい部分)がちっとも【描】かれていない。
おまけに、そのどうでもいい部分に、やたら凝った比喩表現を使ったり、それがまたズレていたりするものだから、余計にバランスが悪い。
これは学芸会なのか・・・?
文字数はそれなりに多いものの、この作品、「書き込まれているか」といえば、決してそうではない。
登場人物が「学芸会レベルのキャラクター設定」なのだ。まあ、こうした傾向はこの作品に限らないが、それにしても稚拙だ。
「癖のあるデスクのイメージを出す→スルメをかませておけばそう見えるんじゃね?」ということを平気でする。
これがさらっと流されるのならまだいい。だが、この作者は「スルメですよ、スルメ、この人はスルメをかみながら仕事をする人ですよー」というアピールが大変にしつこい。
スルメをかませれば、癖のある事件担当デスクの出来上がりだ
このセンスはどうなのか
「罪の声」は、昭和の未解決事件「グリコ森永事件」がモチーフになっている。実際のものと名前を置きかえているのだが、これはワタクシだけだろうか、このセンスはねえだろうと思ってしまった。
「ギン萬事件(ぎんまんじけん)」って、ほかになかったのかよ!という感じである。
次回につづく