この上なくシビアな世界を描いた映画「ボーダーライン」
「ボーダーライン」を見た。これはすごい映画だ。
ボーダーライン
先に言っておくと、この映画は大変にシビアである。一部のシーンをのぞいてはひたすら静かな映画で、主人公であるケイトもまったく活躍しない。爽快感もない。
だが、この上ない「凄み」がある。このシビアさは生半可ではない。
主人公らしくない主人公
物語は、麻薬組織撲滅の任務を受けたケイトを中心にすすんでいく。
この映画、ケイトを主人公として見ると、まったく主人公らしくない。まったく活躍しないどころか、後半はそっちのけで話がすすんでいく。
だが、これこそがこの作品のキモなのだ。正義が決して入り込めない世界、尋常でない世界をテーマにした映画なのだ。
麻薬カルテルものということもあり、万人におすすめできる内容ではないものの、映画好きであればぜひ垣間見てほしい世界である。
悪くない邦題
「ボーダーライン」の原題はSicarioだ。
Sicarioとは何かは本編をみればその意味が分かるのだが、邦題の「ボーダーライン」は言い得て妙だ。作品の方向性にうまくハマっているタイトルだ。こちらのパッケージのほうが作品のイメージに近い印象だ。
プリズナーズ
「ボーダータウン」の監督はドゥニ・ヴィルヌーヴ。傑作「プリズナーズ」の監督だ。
プリズナーズもかなりシビアな映画だ。主役のヒュー・ジャックマンは、X-MENシリーズのウルヴァリン(ローガン)だ。X-MENシリーズとはまた違った演技をみせてくれる・・というか、どれだけ芸風が広いんだよ!という話である。非常にいい演技がみられる。
「ボーダーライン」よりは、こちらのほうがとっつきやすいと思うので、ドゥニ・ヴィルヌーヴ監督作品に興味がある人はまずこちらをオススメしたい。その魅力にとりつかれること間違いなしの傑作である。