作品を台無しにする邦題のひどさ「スクリーム・ガールズ 最後の絶叫」
「スクリームガールズ 最後の絶叫」を見た。
ワタクシは見終わって思った。なぜ騙すような売り方をするのか。
なぜ騙すような売り方をするのか
最初に原題について話そう。「スクリームガールズ 最後の絶叫」は邦題である。原題はまったく違っていて「The Girl in the Photographs」だ。
なぜこんなわけの分からないタイトルになったかというと、おそらく「スクリーム」シリーズの監督が最後に携わった作品(今回は製作総指揮)だからということだろう。作品を見た人は分かると思うがちっとも絶叫モノではないのもポイントだ。
「スクリーム=絶叫」と思ったのか「ホラー=絶叫」と思ったのかは知らないが、全くもってひどいタイトルである。
The Girl in the Photographs
さて、この作品だが、スクリームの監督が最後に携わった作品と思ってみてしまうと「?」と思う部分があるかもしれないが、それを意識せずに見ると決して悪い作品ではないように思う。
この作品は、原題が「The Girl in the Photographs」とあるように「写真(あるいは女性のポートレート)」が重要なキーになってくる物語だ。
ところが「スクリームガールズ 最後の絶叫」というタイトルでは、物語でなぜ写真にこだわるのかがちっともわからない(さらに言えば、絶叫もスクリームを彷彿とさせるシーンもほとんどない)。そう、全くもって余計なことをしやがらないでくださいである。
つくづく「原題通りに発売されていれば・・・」と思う作品だ。
The Girl in the Photographs Official Trailer 1 (2016) - Kal Penn, Mitch Pileggi Thriller HD
かなり不気味
「スクリームガールズ」は、タイトルと日本向けの宣伝を記憶から完全に消してしまえば、ややぎこちないところはあるものの、光るところも多い作品だ。
特に冒頭の何者かが家に潜んでいるシーンは圧巻で、全編を通して不気味さが漂っている。
写真をキーにしているだけあって、フラッシュを使った効果も面白い。フラッシュで浮き上がる怖さを存分に生かした演出はもっと評価されてもいい。
フラッシュを使った効果は、POV(Point of View Shotの略。主観ショットを指すことが多い) ではよく用いられる手法だが、この作品では非常に面白いタイミングで使われている。荒削りではあるが、決して酷評だけで終わってしまうような作品ではないように思う。
正直になぜ言わないのか
これは映画だけではないのだが、こういう騙すようなやり方を見るたびに「なぜ正直に言わないのか」と思ってしまう。
これだけインパクトのあるジャケットであれば、タイトルはいじる必要がなかったように思う。
この作品に関しては、スクリームシリーズを期待したり、ウェス・クレイブンのテイストを期待すると肩透かしではあるが、「The Girl in the Photographs」という1つの作品としてみれば、決して悪くはないように思う。