「X-ミッション」を見て感じた撮り方とCGのこと
「X-ミッション」を見た。
「CGを使わずに、世界屈指のトップアスリートがスタントを行っている」という触れ込みの映画である。
その言葉の通り、凄まじく恐ろしいところをバイクで走ったり、信じられないような急斜面をスノボで滑っていったり、とんでもないところから飛び降りたりと、超ド級のことをナマでやっている映画だ。
アクションメインの映画ではない
ただ、結論から言うと、この映画はワタクシにとって残念な出来だった。というのも、冒頭のバイクのシーン以外は、ナマでやっている凄さがちっとも伝わらないのだ。
Point Break - 2015 Official Trailer [HD]
この動画を見て「それがウリじゃないのでは?」という印象を受ける人もいると思うが、正解だ。この作品は「スタントのアクションを見てくれ!」という映画ではなく、普通の映画の「アクションシーンにスタントを使っています」とったつくりだ。
なので「すげえ!このアクション、ほんとにすげえ!」という楽しみ方をしたい人には向いていない映画だ。ちっとも深みのないストーリーのほうがメインだ。
すごさを見たいのなら、CGを使いつつも生の綱渡りのリアリティを出しまくっている「ザ・ウォーク」のほうが間違いなくオススメだ。
全編に漂うCGっぽさ
さて、「X-ミッション」だが、この映画のアクションシーンは撮り方や見せ方によっては、映画史に残るものになりそうなだけに本当に惜しい。というか、やっていることは間違いなく凄いのだ。だが、それが画面から伝わってこないのが実にもったいない。
その原因の大きなところは、映像の色合いや質感がなんともCGっぽいのである。普通の景色でもCGのように見えるし、実在するものもなんだか作り物めいて見えてしまうのだ。
そうなるとこれは大きなマイナスで、実際にアクションをしていても、作り物っぽくみえてしまう。当然、空気感や緊張感、生々しさも伝わってこないので、実際にやっているのかCGなのか見分けがつかないような印象を受ける。
撮り方
これは仕方のないところだろうが、実際にスタントを使っている場面ではカメラワークがやや単調になる。遠くから撮っているような場面も多い。
そうなると、それまでのドラマシーンでのカメラ割り(カット割り)に比べて、あきらかに距離感があり、迫力も軽減してしまうのだ。どうしようもない部分であるとは言え、全体の流れをみていて気になった部分だ。逆にいえば、ドラマシーンのカメラワークがアグレッシブすぎるのかもしれない。
ちなみに、X-ミッションとはなんともひどいタイトルだが、例によって日本向けのタイトル、邦題である。原題は「Point Break」だ。
マッハ!!!!!!!!
生の迫力と言えば、ワタクシは「マッハ!!!!!!!!」が好きだ。
1:00~のシーンは圧巻だ。トニー・ジャーのアクションが凄いのはもちろんだが、迫力と生々しさを見せるカメラワークがその魅力をより際立たせていると思う。