マイクル・コナリー「暗く聖なる夜」を読んだ
このところ、ブログの再構築についての記事が続いたので、今回は最近読んだ本について書いてみよう。
マイクル・コナリー「暗く聖なる夜」
ろくでもない帯の文言はどうでもいいが、警察小説の最高峰と呼ばれるボッシュシリーズである。
ボッシュシリーズは、一度読むと次々に読みたくなるといわれているが、まさにその通り(笑)。
ワタクシも見事にハマってしまった。
下巻の帯もまったくひどいな、こりゃ(笑)。
「刊行された順に読む」というのはシリーズものの鉄則だが、今回もランダムに選んでしまった。これはシリーズの9作目にあたる作品だ。
ところどころ、まだ読んでいない作品のネタバレをされているような気がしないでもないが、これまた大変に読み応えのある作品だ。
前回読んだエコー・パークとは違い、こちらは一人称で書かれている。
それにしても、話の組み立てがすごい。
これは海外の小説を読むとよく感じることなのだが、小説の作り方自体が日本とは大きく違うのかもしれない。
もちろんモノのとらえ方や感性の違いもあるだろうが、映画なんかでもそうだし、日本とは根本的なところから違うのかもしれないなあ。
「卵をめぐる祖父の戦争」を読んだ
「卵をめぐる祖父の戦争」を読んだ。
デイヴィッド・ベニオフによる傑作長編である。
卵をめぐる祖父の戦争
まずは内容について「BOOK」データベースより引用してみよう。
「ナイフの使い手だった私の祖父は十八歳になるまえにドイツ人をふたり殺している」作家のデイヴィッドは、祖父レフの戦時中の体験を取材していた。ナチス包囲下のレニングラードに暮らしていた十七歳のレフは、軍の大佐の娘の結婚式のために卵の調達を命令された。饒舌な青年兵コーリャを相棒に探索を始めることになるが、飢餓のさなか、一体どこに卵が?逆境に抗って逞しく生きる若者達の友情と冒険を描く、傑作長篇。
戦争モノはあまり読まないワタクシだが、この作品は最高に面白かった。
卵を探す道中で、様々な人や出来事に遭遇するのだが、そのどれもが抜群に面白い。読み始めるととまらなくなる、そんな小説だ。
センスの塊のような作品
「卵をめぐる祖父の戦争」で驚かされるのは、言葉のチョイス、語る分量の絶妙さである。
特に「語る分量の絶妙さ」はすばらしく、人のバックボーンを語る際にも、語りすぎることなく、それでいて省きすぎることなく、ちょうどいい分量にまとまっている。
語らない部分も、自然と行間から伝わってくるかのようで、非常に完成度の高い文章だ。
また、登場人物たちもことごとくツボをつくようなキャラばかりで、人物造形のセンスも抜群だ。
ネタバレしないように
今回、内容についてほとんど触れていないのは、この作品はできるだけ前情報をいれずに読む方が絶対に面白いからだ。
この作品は、王道的展開はまったくない。
何に出会うのか、次はどうなるのか、話がどう転んでいくのかがまったく予想できないのである。
これがまた面白いのだ。
翻訳も自然で読みやすい。興味のある人はぜひ読んでほしい。おすすめの作品だ。
- 作者: デイヴィッドベニオフ,David Benioff,田口俊樹
- 出版社/メーカー: 早川書房
- 発売日: 2011/12/05
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プライムビデオで「メイドインアビス」をみた
なんという面白さ!先が気になってラストまで一気にみてしまった。
メイドインアビス
アニメ版「メイドインアビス」は、つくしあきひと氏のマンガを原作にしたアニメ作品だ。
現在もWEBコミックガンマで連載中で、最新話のほかに何話かを無料で読むことができる。
人類最後の秘境と呼ばれる巨大な縦穴「アビス」を潜っていくわけだが、まさに冒険、まさにファンタジーという感じで、非常に面白い作品だ。
絵はかわいいが、実に骨太な物語
メイドインアビスは絵柄はかわいいが、実に骨太な内容だ。
特に「生と死」に関しては非常にシビアな世界観で、それが物語をより深みのあるものにしている。
生きるために命をいただくこと。
それは人間だけではなく、アビスで生きる生き物たちすべてに共通すること。
中にはえげつない描写もあり、「よくこの時代にアニメにできたなあ」と思わされる部分もある。
が、これこそが生きること、未知なる世界への冒険なのだと感じさせられる。
アニメ版は全13話。
原作の連載は続いているが、アニメ版はアニメ版でいいまとまりをみせている。
美術監督は増山修先生。
おお!と思う人も多いだろう。非常に美しい世界をたのしむことができる。
現在、Amazonのプライムビデオでは、全話をたのしむことができる。
大変に深みがあり、面白い作品だ。興味のある人はぜひみてほしい。
これは面白いなあ!マイクル・コナリー「エコー・パーク」
マイクル・コナリー「エコー・パーク」を読んだ。
警察小説の最高峰といわれる「ハリー・ボッシュ シリーズ」の12作目にあたる作品だ。
エコー・パーク
まずは「BOOK」データベースより本書の紹介文を引用してみよう
ロサンジェルスのエコー・パーク地区で、女性二人のバラバラ死体を車に乗せていた男が逮捕された。容疑者は司法取引を申し出て、死刑免除を条件に過去九件の殺人も自供するという。男の口から語られるおぞましき犯罪。その中に未解決事件班のボッシュが長年追い続ける、若い女性の失踪事件も含まれていた。
この「ボッシュシリーズ」、かなり人気があるそうだが、実は読むのは今回が初めて。
しかもいきなり12作目を手に取ってしまったわけだが、何の問題もなかった(笑)。
シリーズの途中から読んでもすんなりと入っていけるのは、さすが人気シリーズといったところだろう。
抜群の構成力
読んでみて驚いたのは、話の面白さはもちろんだが、構成の妙。
複雑に絡み合った事柄が破綻なく消化されていく。それも非常に分かりやすく、ドキドキとさせる形で展開していくのだ。
海外の小説を読んでいると「これは次元が違うなあ」と感じることがあるのだが、今回の構成力もそれにあたる。
「プロフェッショナル」がひしひしと伝わってくる作品だ。
ボッシュシリーズにはずれなし
巷では「ボッシュシリーズにはずれなし」といわれているようだ。
抜群に面白かった「エコー・パーク」だが、いくつか感想をみた感じでは「最高傑作」というわけではないらしい。
このシリーズは、一体どれだけ面白いんだという話である(笑)。
たのしみがふえそうだ。
- 作者: マイクル・コナリー,古沢嘉通
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戦慄のノンフィクション「子供たちは森に消えた」
「子供たちは森に消えた」を読んだ。
犠牲になった少年少女は50人以上―ロシアで実際に起こった猟奇殺人事件について書かれた戦慄のノンフィクションだ。
先日、このブログで紹介した小説「チャイルド44」の元ネタになった事件でもある。
子供たちは森に消えた
まずは「BOOK」データベースより紹介文を引用してみよう。
1982年、体制の崩壊を目前にしたソヴィエト連邦ロシア南部の森で、ナイフの傷跡も無残な少女の死体が発見された。それを皮切りに次次と森で子供たちが惨殺される事件が発生し、担当の捜査官ブラコフは、精神科医の協力を得つつ連続殺人犯を追う。そして1990年、ついに逮捕された男は、恐るべき事件の全貌を語り始めた…8年間に50人以上の少年少女の命を奪った異常殺人者の素顔に迫る、戦慄の犯罪心理ノンフィクション。
この作品は非常に強烈だ。
1982年~1990年にかけて次々と少年少女が殺されていくのだが、恐ろしいことに、最後の最後まで犯人の姿がまったくみえてこない。
手がかりらしい手がかりはナシ、どれだけ大規模な捜査をしてもまったく浮かび上がってこない。
犯人を誘い出すための罠を仕掛ければ、その盲点をついて殺人を犯す―これが現実にあったことなのかと思わされる恐ろしさがある。
捜査官側の視点
本作は、犯人を追う「捜査官側の視点」を中心に書かれている。
この書き方が実にハマッていて、犯人の得体の知れない恐ろしさや、捜査のあせり、現場の混乱っぷりが非常によく伝わってくる。
途中、唐突に写真が掲載されたページが出てくる。写真ページはその部分だけなのだが、これがゾッとさせる。
完成度の高いノンフィクション
この作品、多少「細かく書きすぎている」と感じさせる部分もあるが、「よくぞここまで書ききった」と思わされる内容だ。
この事件を題材にした「チャイルド44」は小説として面白かったが、読み物としてはこちらのほうが圧倒的に上ではないだろうか―そう思わされた。
翻訳も自然で読みやすいのもいい。興味のある人はぜひ読んでほしい1冊だ。
どのようにして本を買う量を減らしたか その3
「どのようにして本を買う量を減らしたか」も3回目になる。さっそくつづきを書いていこう。
本は心の栄養、読む量は減らさない
ここまで本を買う量を減らす方法を書いてきたが、大切なのは「本を読む量は減らさない」ということだ。
本は心の栄養だ。いくら部屋が片づいても、本を読まなくなってしまったら意味がない。
というわけで、話をつづけていこう。
本を置くスペースを限定する
本を買う量を減らすのに、本を置くスペースを限定するのも重要だ。
本棚を決め、そこに入る範囲内でやりくりをするなど、置くスペースを限定するのである。
そうすると、本を買う際に置き場所があるかどうかを考えるようになる。
本は積まない
本を床や机に置くと、その上に積んでしまうことが多い。
これも本が増える原因の1つだ。
部屋が散らかる原因でもあるので、本の置き場所は、本棚(またはラック)に限定するのがいい。
電子書籍を活用する
電子書籍は非常に便利だ。電子書籍というと抵抗のある人もいるかもしれない。
ワタクシも最初はそうだった。
その頃は、電子書籍をPCやスマホで読んでいたのだが「確かに読めるけど、なんだか読みづらい・・・」という印象だった。
が、タブレットで読むようになってガラリと印象が変わった。
サイズ・レイアウトともに画面にぴったりとフィットしていて、紙の本よりも読みやすいと感じるようになった。
ワタクシが使っているのは、アマゾンのFire HD8。スマホやPCで読むよりも圧倒的にみやすく読みやすい。
Kindle本はセールも多く、紙の本よりもお得に手に入ることがある。
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雑誌の注意点
ただ、雑誌を読む場合は注意が必要だ。
スポンサーとの関係か、広告関連のページが掲載されていないことがある。
また、一時期ネットでも話題になったが、有名人の写真がシルエットになっていたり、そのページや記事自体が掲載されていないこともある。
なので、雑誌の内容をじっくりたのしみたい人は注意が必要だ。
まとめ
3回にわたって、「どのようにして本を買う量を減らしたか」について書いてきた。
どのようにして本を買う量を減らしたか その2
昨日の記事「どのようにして本を買う量を減らしたか」のつづきを書いていこう。
月額読み放題を利用する
本や雑誌の読み放題サービスは、本好きにとってはたまらないサービスだ。
「常に本を読んでいたい」「本を探すのがたのしい」という欲求を満たしてくれる。
読み放題サービスはいろいろあるが、ワタクシはKindle Unlimitedを利用している。
ラインナップの入れ替えも頻繁にあり、書店を歩くような感覚で本を探すことができる。
昔の本でも面白い
昔の本でも面白い本は面白い。
当たり前のような話だが、これに気づくと新刊ばかりを追いかける必要はないことがわかってくる。
ジャンルの多様性
本以外のジャンルでもそうかもしれないが、そのジャンルに元気がなくなると、多様性が失われていく。
要は、売れそうな本、失敗しにくいような本が増えてくるのだ。
小説好きな方なら感じたことがあると思うが、一時期、どの作家もこぞって時代小説を書き始めたことがあった。
当時は「なんでみんな同じことを・・・」と思ったものだが、今の小説は多かれ少なかれ、こうした傾向がある。
ドラマ化狙いの小説、大根演技&薄っぺらい人物描写の小説が本当に増えた。
昔の本
今の本に「?」と思った時は、昔の本をあたってみると求めていたものが見つかるかもしれない。
今は図書館のほかにも、青空文庫や電子書籍など、昔の本を読める環境が充実している。
以前は、読みづらいとされた海外の古典文学も、電子書籍であれば、人物名にスポットをあてたり、言葉の意味を調べながら読めたりと、格段に読みやすくなった。
Kindleでは様々な作品がラインナップされている。
画像は古典教養文庫。これは著作権の切れた作家の作品を底本に電子書籍化したものだ。
低価格で販売されているので、こうしたところから読み始めてみるのもいい。訳は古いが、ハイライトや検索など電子書籍ならではの読書ができる。
「紙の本を買わずとも」という選択肢が増えてきているわけだ。
次回につづく。